節酒は不可能、断酒しかない |
---|
アルコ一ル依存症の人は、飲酒の“ブレ一キ"がこわれてしまつています。問題を起こさない範囲で“調節"しようと思っても、不可能です。たとえ一時的にコントロールできたと感じても、ふたたび元の飲み方に戻ってしまいます。 飲酒のブレーキを“なおす"治療法は今のところありません。 けれど、断酒して健康な生活を送ることは可能です。 アルコール依存症はこの点で、糖尿病と似ています。慢性の病気で、「回復」はあっても「治癒」はないのです。糖尿病の人が食事療法などでみずからの健康管理が必要なように、アルコール依存症の人は断酒を続けて病気と上手につきあっていく必要があるのです。 |
飲む理由をとりのぞくのではなく、まずしらふの生活を始める |
---|
「飲酒の原因となっている悩みやストレスを解決してあげれば飲まなくなるので は?J と周囲の人はしばしば考えます。けれどいったんアルコール依存症に足 をつっこむと、飲む理由があるから飲むのではなく、理由をさがして飲むよう になります。 物事がうまくいかないから飲み、誰かに腹が立つから飲み、疲れてむなしいか ら飲み、気分がいいから飲み、事件があったから飲み、なにもなくて物たりな いから飲みます。 そして病気が進行するにつれ、強迫的飲酒欲求も離脱症状もひどくなり、どう しても飲まずにはいられなくなるのです。 悩みを解決しようとする前に、病気としての対応が必要です。断酒してしらふ になったうえで、残った問題をひとつずつ解決していけばよいのです。 |
ひとりではできない。助けを求める、互いに支えあう |
---|
断酒を始め、回復を続けていくのは、一人では困難です。いくら意志を強くし ても病気には勝てません。そこで、専門治療を受けることや、自助グループに 参加することが必要不可欠です。治療を経過せずに自助グループで断酒を続け ている人もいます。 自助グループとは、お酒をやめ続けたい人が共に集まって自分の体験を語り、 仲間の体験に耳を傾けて、支えあっていく場です。日本では、「断酒会」と「A A」 という自助グループが各地で開かれています。アルコール依存症の回復に は自助グループがもっとも有効な手段であることがこれまでの経験で立証され ています。 |
黒見 久司
境港市花町1-6
TEL 0859-44-1199